●症状
脆弱性骨折とは、骨粗鬆症を背景とした、軽度の外力によって起きる骨折のことを指します。主には、脊椎椎体骨折という背骨の骨折、大腿骨近位部骨折という脚のつけ根の骨折、橈骨遠位端骨折という手首の骨折、上腕骨近位部骨折という肩のつけ根の骨折があります。
特に、大腿骨近位部骨折や脊椎椎体骨折は、体の立つ動作をサポートする箇所の骨折であるため、高齢者の日常生活動作が障害され、生活の質が下がる代表的な骨折です。立ったところから転ぶくらいの軽い外力で骨折するため、脆弱性骨折をした患者は全身の骨が脆弱になっています。そのため、脆弱性骨折そのものが、骨折する高いリスクがあり、最終的に骨折が次々に起きる脆弱性骨折の連鎖になります。
高齢の人の活動が下がる脆弱性骨折が何度も起きた場合は、大幅に活動力が下がり、介護、介助が一層必要になる可能性が大きくなり、体の衰えも急速に進み、寿命に影響を及ぼします。
●原因と病態
骨折の危険性は、実際に、骨密度や加齢に加えて、過去に骨折した脆弱性骨折の既往によってリスクが増すことが明らかになっています。海外の研究によると、橈骨遠位端骨折の既往は、橈骨遠位端骨折の骨折リスクを3.3倍、脊椎椎体骨折の骨折リスクを1.7倍、大腿骨近位部骨折の骨折リスクを1.9倍にそれぞれ増加させ、脊椎椎体骨折の既往は、橈骨遠位端骨折の骨折リスクを1.4倍、脊椎椎体骨折の骨折リスクを4.4倍、大腿骨近位部骨折の骨折リスクを2.3倍にそれぞれ増加させます。
大腿骨近位部骨折の既往は、4倍~10倍にまで反対側の大腿骨近位部骨折の危険性を増加させると言われます。そのため、脆弱性骨折が一旦起きると、同じ箇所の骨折以外に、身体の別の箇所の骨折の危険性も増すことになります。
骨折後は、筋力が衰え、運動機能が低下するため、転倒リスクが増加したり、活動量が下がることによる、骨のさらなる脆弱化を招く場合があります。
遺伝も関係します。大腿骨近位部骨折の既往が両親のどちらかにある場合は、2.3倍に大腿骨近位部骨折の危険性がなると言われています。また、ライフスタイルと骨密度を親子2世代に渡って調べたデータによると、骨密度値が親子で似ているとの報告があり、腰椎骨密度値では12歳~18歳の娘に母親からの遺伝相関があること、身体活動、カルシウム摂取においても、強い相関が母子間であるため、骨折連鎖は親子間にもあります。
●診断
骨折歴を掴むことが大切になります。注意深く問診をして、骨折の連鎖を調べることが必要です。脊椎椎体骨折の場合は、全脊柱X線像で別の椎体の骨折があるかどうかを調べます。新鮮骨折椎体を多発性椎体骨折において同定するためには、MRI検査が有効です。
●予防と治療
骨折の連鎖を断つためには、脆弱性骨折が起きた患者に次の骨折を防ぐために治療を適切に行って、これを続けることが最も大切です。
薬物療法としては、骨折を抑える効果が分かっている骨形成促進剤や骨吸収抑制剤などの骨粗鬆症治療薬を患者の状態に応じて選んで、投与を始めてからもレントゲン撮影、血液検査、骨密度検査などを定期的に行って、治療した効果を評価する必要があります。
また、予防することも必要で、適切な食事、禁煙、飲酒の生活習慣にプラスし、転倒を予防するために杖を使ったり、1分間くらいの片足立ち、散歩などの適度な運動をしたりするのも有効です。
桶谷整形外科医院 浜松市中区 整形外科
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2023〜2024年の年末年始の休診予定をお知らせいたします。 2023年12月29日 〜 2024年1月4日は休診となります。よろしくお願いいたします。
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2021.12.10
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2021.07.16
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